戦術と技術はリンクさせて練習する!戦術的アプローチの考え方

こんにちは、トモヒトです。
今回は「THE TACTICAL APPROACH TO COACHING TENNIS」という記事をもとに、戦術的アプローチについて見ていきます。
この記事は1999年のものですが、戦術的アプローチが必要な理由やそのために必要なコンセプトが簡潔にまとめられています。
戦術的アプローチの概要と必要性
まず、戦術的アプローチとはどのようなものなのでしょうか?
簡単にいえば、戦術的な思考と技術・スキルの実行を組み合わせた形で練習するというものです。
従来の練習では、技術トレーニングと戦術トレーニングは別々に行われることが多いです。
しかし、この方法では、実際の試合での状況とは異なってきます。
実際の試合でボールを打つ過程
では、実際の試合でボールを打つ際には、どのような過程を踏んでいるのか改めて確認しておきます。
- 正確な状況の認識(Perception)
- それに対する適切な対応の選択(Decision)
- スキル・技術の実行(Action)
ここからもわかるように、実際の試合ではボールを打つまでに、「状況把握」や「技術の選択」といった、戦術的な思考・判断が要求されます。
そもそも技術(テクニック)の定義は、「ある運動課題を解決するための手段」とされています。
つまり、打ち方は「目的を解決する手段」であって「目的そのもの」ではないということです。
テニスでいえば、技術の目的は得点すること・試合に勝つことです。
極端な話、どれだけきれいなフォームであっても、得点できなければ技術としての価値は低いといえます(もちろん、障害予防の観点から適切なフォームを身につける必要性は否定できませんが)。
打ち方の前に技術の使い方に重きを置く戦術的アプローチは、技術の定義から考えると自然な流れだと感じます。
練習に楽しさをもたらす
また、戦術的アプローチは、練習を楽しくするという効果もあると説明されています。
テニスを楽しみ、内発的モチベーションを保てる指導が求められる
→戦術と技術を組み合わせた指導法
テニスを楽しむというのは、ゾーンに入る条件の1つとされているので、軽視できない部分だと感じます。
戦術的アプローチの詳細
それでは、戦術的アプローチについてより詳しく見ていきます。
まず、前提として次の考え方を押さえておく必要があります。
試合状況に応じたスキルの適応が必要
→オープンスキルに関する知識や経験が重要⇒戦術を含んだゲームで向上する
つまり、戦術要素をできるだけ残しつつ、技術向上を図るというものですが、ここで次の壁が立ちはだかります。
初心者にとってテニスのスキルは複雑で難しい
他のスポーツ経験などにもよりますが、そもそもボールをラケットに当てるのも難しいということも少なくないです。
では、この課題を解決するにはどうすればいいでしょうか?
「THE TACTICAL APPROACH TO COACHING TENNIS」では、次のように書かれています。
テニスそのものをプレイヤーに合わせて作り替える必要がある
- コート→小さくする
- ラケット→小さく軽いものを使う
- ボール→大きくスピードの出にくいものを使う
- ネット→高くする(ボールスピードを下げるため)
場合によってはラケットを使わない方法も考えられる
例)キャッチ&スローでのゲーム⇒戦術を強調
初心者でも戦術を導入できるようにテニスを作り替えるというのは、まさにPlay & Stayです。
Play & Stayを取り入れることで、早期からゲームを行えるようになります。
また、ラケットを使わないキャッチ&スローでのゲーム形式は、ラケットでボールをコントロールするより難易度は下がるため、相手との駆け引きを考えやすくなります。
まだ、ラケットの扱いやボールコントロールがうまくできないときに、戦術的アプローチの導入として取り入れるのは効果的だと思います。
ただし、ボールを捕る・投げるという基本動作ができていないと成り立たないため、その場合はコーディネーショントレーニングなどを取り入れる必要があります。
重要なコンセプト
- 全てのプレイヤーができるだけ早期から頻回に戦術的な意思決定を行う機会を与える
- ゲーム状況を操作することで、スキル実行力を効果的に導入・向上させる
また、戦術的に考える習慣がなければ練習が機能しないことがあるため、必要に応じて戦術的思考を促すコーチングも使うと良いかと思います。
最後に
今回は、戦術的アプローチの効果や取り入れる際のポイントについて触れました。
テニスの楽しさを伝える上でも、育成という点でも、戦術的アプローチは重要だと思います。
今後も、効果的な戦術的アプローチをさらに探究していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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